2021年3月30日火曜日

車両展示用シーナリーセクション製作記(2013年の話)~その2~

 


地形の製作は、いろいろ迷いましたが、使い慣れている紙粘土で製作しました。
まぁ、省スペースで凹凸も少ないので、プラスターや石膏も大げさですし。
リキテックスのモデリングペーストでもよいかと思いましたが、田んぼの畦道を盛り上げるために、厚みを持たせるには、粘土の方が良いかと思いまして。
あと、紙粘土は100円ショップで購入できて安価です。

紙粘土は乾いてから剥がれないように、薄く木工用ボンドを塗ってから、手で伸ばすように塗り付けています。
その後、表面は、歯ブラシやスポンジで叩いて、適当に荒らしています。


紙粘土が乾いたら、先に線路を塗装。
細かく作るなら、レールと枕木を塗り分けるべきなのかもしれませんが、ボクは手っ取り早くレールも枕木もレッドブラウンを吹き付けました。
ホンモノの線路も、敷設してすぐじゃない限り、経年によってレールと枕木は、ほとんど同色化しているように見えます。この後のバラストの色も迷うところなのですが。

少し写真が飛びますが、レールを塗装した後、地形部分を水彩絵の具で下地塗りします。
レッドブラウンを吹き付けた線路との境目もぼかすように、水で溶いた薄めの水彩絵の具を塗りました。
まぁ、この時は手元にアクリル絵の具が無かったので、混色やボカシのしやすさ、あと、安価で手軽に使えるので、水彩絵の具にしちゃいましたが、耐水性を考えると、今ならアクリル絵の具を使うかなぁ・・・
あと、地面の色は「黄土色」なのか、「灰色」なのかは、すごく迷うところです。
畑で芋掘りをした幼少時の思い出や、関東ローム層の赤土が印象に残って、「土は茶色だー!!」と、あまりに「茶色」や「黄土色」にすると、明らかに灰色の、道路との境目辺りがあまりにクッキリすると、変になります。
灰色と黄土色を上手くグラデーションさせるのがコツと言えばコツでしょうか。
まぁ、地面については、何度も重ね塗りをするつもりで、最初は薄めに仕上げても良いと思います。

地面にある程度色を塗ったら、線路にバラストを撒きます。
以前に購入した、KATOの茶色を使用しているのですが・・・現在は長期欠品中のようですね。質感も色も気に入っていたのですが。
バラストも、「茶色」か「灰色」か迷うところです。
レールをレッドブラウンに塗ったので、灰色のバラストだと、敷設したての線路に見えてしまうような気がします。ホンモノの線路を見ると、バラストはあくまで灰色で、レールからの錆がグラデーションで広がっているのが正解なのかもしれません。

バラストは霧吹きで湿らせて、界面活性剤入りの洗剤を混ぜた、木工用ボンド水溶液をスポイトで滴下して固着します。

この木工用ボンド水溶液が完全に乾燥するまで、恐らく24時間以上かかります。
乾く前に、ちょっと触ると、形が崩れてしまうので、非常にドキドキ、ヒヤヒヤ、待ち遠しい時間です。

バラストを固着した後、ふと思い立って、少し地面を持ち上げて、小さな丘を作りました。
元々、雑木林の予定だったのですが、以前に購入したジオコレのパーツを使ってちょっとしたシーンを作ってみようと思います。

そして、地面に色を重ねた後、ここからパウダーを使って、土→草の表現、ということになります。
まずは土です。
当初は、通常のカラーパウダーを使う予定でしたが、模型店で、モーリン社製「リアルサンド」というものを見付けたので、今回はそれを使いました。


線路はこんな感じです。遠目に見ると、けっこうリアルなのではないかと、自己満足・・・

今回はこの辺で。
次回は、完成まで書けるかな。

2021年3月22日月曜日

車両展示用シーナリーセクション製作記(2013年の話)~その1~

 

今回は、2013年に突如思い立って制作した、車両展示用のミニシーナリーセクション(ジオラマ)の製作記を残しておきます。

と言いますか、今、新たなレイアウト製作に取り掛かかっています。
シーナリーの製作にあたっては、この前回2013年のミニシーナリーセクションの反省点等を生かしていきたいと思っており、シーナリー製作にあたって、いろいろな要素を盛り込んで、いわばボクにとって、シーナリー製作の「習作」となりましたので、失敗点も含めて、みなさまの参考になればと、書き残しておきます。

てか、2013年から、書こう書こうと思いながら放置していたことにやっと手を付けた、この筆の遅さよ・・・涙

きっかけは、100円ショップ「ダイソー」で300円で売られている、コレクションボックス「アーチワイド型」を購入したこと。横の長さが、ちょうどNゲージの20m級車両2両分+αくらいなので、上手く配置すれば、ちょうど良い車両展示台になるかなー、と。

どんな風景にするか迷いましたが、ボクが持っている、Nゲージ車両の多くが似合う、純日本的な、田舎のローカル線にしました。
ちょっと作ってみたかったのが、「夏の田んぼ」です。
夏、列車に乗っていると、車窓の緑一面の田んぼにそよ風が吹き、緑の稲が一面波打つ光景・・・まぁ、小さな展示台なので、田んぼの一部分しか表現できませんし、後ほど書きますが、今回の「夏の田んぼ」は、思ったほどうまくいかなかったのですが・・・

一番底部分の基本のベースには、手元に余っていた2mm厚のケントボード紙を使用しました。木製板やプラ板よりも加工がしやすく、ある程度の強度もあるのですが、色を塗ったり、シーナリーを造形した時、水分による反り、変形の恐れがあるので、あまり大きなものには向かないかもしれません。

2mmケントボードの上に、3mmスチロールを貼って、田んぼと畦道の高低差を出すようにします。
線路には、さらに道庄として、2mmのスチロールを敷きました。
線路は、スペースをいっぱいに使いたかったのと、自然なカーブを再現したかったので、家で余っていたPECOのフレキシブル線路です。
舗装道路と踏切は、更に3mmスチロールでかさ上げして、アスファルトはボール紙を貼っています。
ボクは、ざらざらした質感と、加工のしやすさで、舗装道路にはプラ板よりも、ボール紙を多用しています。安価だしw
ただし、こちらも塗装や、シーナリー工作の水分で反ったり波打ったり、変形するので、下のスチロールとしっかり固着します。写真は、スチロールの切れ端を挟んで、クリップで固着しているところ。ちなみに、接着は、ほとんど木工用ボンドで行っています。

ストラクチャーとして、トミーテックジオコレの、「農機小屋と農機B」を使用してみました。
トミーテック、ジオコレの建物やアクセサリーが充実してきたことは、非常にありがたいのですが、正直、ボクにとっては、「使えるもの」「使えないもの」の差が大きくあります。
ジオコレは、どうしても、その作りに粗さがあったり、また、歪みや、ドライブラシによる塗装など、ウェザリング、経年感を強調したその造形は、イメージと合わなかったりします。
素材として、一部加工したり、塗装し直して使いたい!と思っても、非常に肉厚なプラスティックで造形!!カッターナイフの刃が立ちません!!
使いたい部品に限って、本体と一体成型されていたり、マスキングも容易ではなかったり、改造には向いているとは言えません。
まぁ、それゆえ手軽に使える「頑丈さ」があるのでしょうけれども・・・

今回の「農機小屋と農機B」については、日本全国、汎用的に、農地の片隅にいかにもありそう!な好ましい形状。
そして、壁が無く細い柱のみという、シースルー!?な感じを上手く表現していて、これをもし自作するとしたら、なかなか大変だし、この構造である程度の強度を保つのは、ジオコレのプラスティック一体成型だからこそ、と思います。

塗装は全て塗り直すことにしました。
また、肉厚で大きなベースが付いていますが、建物分最小限のみ切り出して(カッターナイフとPカッターでひたすら何回も切り出しました涙)、スチロールのベースをくりぬいて埋め込み、一体化しました。

シーナリー全体のベースができたら、本格的なシーナリー工作、塗装の前に、家にあった適当な歪みの無い、9mm厚さ程度のベニヤ合板に画鋲で固定しました。
歪みを防止するためです。

踏切部分です。
できるだけ、道路の路面をレール上面のレベルまで上げています。
市販されている踏切や、一般的なレイアウトの作例では、道路が線路の直前で急傾斜になっているものが多く、それは、非実感的だと思っています。
まぁ、Nゲージの線路自体がオーバースケールなので、ある程度は仕方ないのかもしれませんが。

次回は、シーナリー工作の次の工程について書きたいと思います。

2021年3月17日水曜日

赤穂線西浜から山陽本線宝殿までのセメント貨物 ~その3~

 

姫新線東津山の住友セメント包装所(S.S.)
1995年頃撮影。既に線路はありませんが、トラックが入り、施設は稼働中でした。



山陽本線東岡山駅の住友セメント包装所。
建築資材を扱う会社の一角となり、盛業中でした。
1995年頃撮影。チラッと日野KF?ZM?のミキサー車が写っていますが、当時はまだ現役だったんですね!



赤穂線西浜駅の住友セメント工場から発送された貨物列車に関する記事の「その3」になります。

とはずがたり様のサイト「日本の鉄道貨物輸送と物流」を参考にさせていただきます。


本当にお世話になりっぱなしで、鉄道貨物に関する詳細な学術的研究には頭が下がる思いです。

その、「住友セメント」の項目を拝見すると、
西浜駅、住友セメント赤穂工場からの内陸の発送先は、

・江原(山陰本線)
・宝殿(山陽本線)
・東岡山(山陽本線)
・東津山(姫新線)
・西舞鶴(舞鶴線)

となっています。

江原駅と、西舞鶴には行ったことが無いのですが、Googleで検索したところ、江原駅にはセメントサイロが残っているのを発見しました!!行ってみたい!!!

ちなみに、「住友セメント」は、1994年に「大阪セメント」と合併し、「株式会社住友大阪セメント」となって、現在に至ります。


とはずがたり様のサイトにも書かれておりますが、
住友セメントは、1960年以降の正に日本の高度経済成長期、日本全国の各セメント工場を拠点に、「ゴールデントライアングル方式」!!という住友セメントオリジナルの構想に従って、工場からの最大輸送距離を120km前後とし、60km間隔の正三角形の頂点上に包装所(サービスステーションと称した)を配置、その間を鉄道貨物で輸送するシステムを確立したのでした。

これまでに紹介した写真の通り、住友セメント包装所は、細部は微妙に異なるものの、日本全国、ほぼ同規模、同仕様の施設が建設されました。
ボクが写した写真をご紹介すると、
神奈川県大船駅(東海道本線、2016年解体)

山梨県東花輪駅(身延線)

青森県川部駅(奥羽本線)

まだまだ、乗っている列車から見かけたりした記憶はたくさんあります!!
とにかくこの住友セメントサイロは、日本全国にほぼ同一規格のものがあるところが面白い!!
宝殿駅など、比較的遅く1995年まで、鉄道貨物輸送が残っていたにも関わらず、鉄道輸送の廃止をきっかけに、包装所としての役目も終えて、その後解体されたものも多くあります。
逆に、鉄道輸送は廃止されても、会社組織を変えながら、地域のセメント建設資材の貯蔵施設として、盛業中のものも、たくさん残っています。

嗚呼、日本の高度経済成長期の建設ラッシュの時代を支え、セメント工場から各施設まで、毛細血管のように、全国各地のローカル線の包装所に、住友セメントの貨車がセメントを運んだかと思うと、感慨もひとしおではありませんか!?

ところで、赤穂線、住友セメント赤穂工場の話に戻りますが、姫新線の貨物輸送廃止は、Wikipediaによると1987年らしいです。
ということは、恐らく東津山の施設までは、1987年頃まで鉄道貨物が生きていたのではないでしょうか?
ルートは、勝手に予測しますと、津山線はもう既に貨物輸送は廃止になっていましたので、

西浜駅→(赤穂線)→相生→(山陽本線)→姫路→(姫新線)→東津山

だったのではないかと考えられます。
姫新線で、DE10牽引の客車列車が残っていたことを考えると、
この写真のような、DE10牽引の姫新線貨物列車が走っていたのでしょうか!?
しんがりは、ローカル線っぽく、ワフ29500にしてみました!!

誰か、姫新線の貨物列車の写真をお持ちの方がいらっしゃれば、是非観てみたいです!!


2021年3月12日金曜日

赤穂線西浜から山陽本線宝殿までのセメント貨物 ~その2~

兵庫県内、姫路の3駅隣にある、山陽本線宝殿駅の住友セメント包装所の写真。


でご紹介した、赤穂線西浜駅発のセメント貨物の最後まで残った発送先です。
残念ながら、赤穂線貨物廃止直後の、1996年か1997年に訪問した時の写真です。
まだ、日立製10トンスイッチャー(貨車移動機)が残っていました。

実はこの宝殿の住友セメント専用線については、廃止間際の頃、姫路市にある株式会社小林写真館様が、映像を撮影し、なんと少量ながら、DVDとして発売されました。
何を隠そう、ボクも購入して持っているのですwww


いやぁ、こんなニッチな題材、貴重な映像を、よく動画として残してくれた・・・
そして、鉄道雑誌の片隅に掲載された紹介を観て、当時のボクもよく購入したなぁ・・・

内容は、EF65牽引によるセメント貨物が到着、セメント満載のタキ1900を入換えするD-101型、日立10t移動機、操縦するのは、2人のおばちゃん!!
小さなD-101が空転したり、夏の暑さでオーバーヒートしたり、ドキドキワクワク!?スリル満載!?
オマケに、最後には、操縦するおばちゃん二人へのインタビュー(というかほぼ、世間話・・・)付き・・・という豪華な内容です。

残念ながら、現在はほとんど流通していないようなのですが、非常に貴重な映像資料、小林写真館様には、有料コンテンツでも良いので、動画配信でもしていただけないものでしょうか??

2021年3月10日水曜日

赤穂線西浜から山陽本線宝殿までのセメント貨物 ~その1~

 
兵庫県の相生駅から、岡山県の東岡山駅まで、山陽本線の南側の小都市を結びながら走る、赤穂線。「赤穂浪士」で有名な「播州赤穂」や、片上鉄道の終点「片上」(片上鉄道が国鉄と接続していたのは和気駅でしたが)、日本刀の名刀「備前長船刀」の「長船」や、奇祭西大寺はだか祭りで有名な「西大寺」など、各駅毎になかなか特徴があり、ボクにとっては、なかなか魅力的な地元の電化単線ローカル線です。

この赤穂線、1995年まで、定期貨物列車の設定がありました。
最後は、住友セメント工場があった播州赤穂の隣の貨物駅「西浜」から、山陽本線「宝殿」までを結んでいました。

家で鉄道模型を走らせ始めて、岡山の実家に眠っていた鉄道模型もいくつか親に頼んで送ってもらいましたが、その中でも走らせたかったのは、この写真の、EF65一般型の牽く、住友セメントタキ1900貨物列車。

赤穂線のセメント貨物列車の雰囲気です。
実際は、タキ12両編成だったそうなので、半分の長さですが、雰囲気で!

ボクが持っている模型のタキ1900は、今は無き、河合商会製。
今では、KATOもTOMIXもタキ1900を精密な最新技術で模型化してくれているので、いつか住友セメント所有車も!と待っているのですが、まだ発売されません、、、
KATOやTOMIX製品もそこそこ高価なので、上手くできる自信も無いのに、会社名を書き替える改造も気が引けます。以前は小メーカーから、「住友セメント」の社名インレタも発売されていた覚えがありますが・・・。

親戚の家が、一時期、山陽本線「土山」(かつて別府鉄道の起点だった駅です)にあり、小学生から中学生の頃、山陽本線で何度か訪問したました。
その時に、当時から車窓にへばりついて、貨物列車などを変態的に観察していたボクは、「宝殿」駅に住友セメントの専用線があるのを見付けました!!
そして、インターネットも無い時代に、よく調べたと思いますが、その宝殿駅のセメント貨物の出発地が、赤穂線の「西浜」であることを知りました。
廃止前ギリギリ、1995年頃、赤穂線西浜駅(もう西浜信号所となっていたか?)の写真です。
背景の右側が住友セメント赤穂工場。
今思うと、何故ワム80000貨車がいるのでしょうか?
住友セメントタキ1900。

実は、このタキ1900が、貨物列車として、赤穂線内を実際に走行しているところは、ボクは見たことがありません!
WEBで探して、唯一、走行写真を掲載されていた、ル・シエルさんの「~いつか見た空~」BUOGのリンクを掲載させていただきます。


西浜駅の貨車についても書かれています。


実は、今でも、赤穂線の「天和駅」にある三菱電機専用線までのシキによる特大貨物については、一応不定期貨物の設定があります。
1995年頃、天和駅三菱電機専用線のバッテリーロコ。

最近では、2019年にシキ1000による特大貨物が走ったらしいです。

ところで、赤穂線のセメント貨物は、しんがりに、ちゃんと!?車掌車ヨ8000を連結していたらしいです。日本の鉄道貨物列車は、1985年以降、原則として車掌車の連結と列車掛(車掌)の常務を省略していきました。特殊な事情、例えば、紀勢本線鵜殿までの貨物列車などは、山中で列車無線が通じ難いエリアがあるということで、車掌車の連結をしていた例がありましたが、赤穂線は何故、最後まで車掌車が連結されていたのでしょうか?